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母乳で育った赤ちゃんと粉ミルクで育った赤ちゃんの違いが激しすぎる件

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発育に不可欠な核酸

 

 母乳には赤ちゃんに必要なすべての栄養素が、人間特有の発育過程に適合した状態で入っている。

 

 しかし、母乳に含まれている栄養素や免疫物質は、仮に人間の体を家に例えるなら、鉄骨やコンクリート、セメントなどの材料やそれらを組み立てるために使う道具に相当するものです。せっかくいい材料や道具が揃っていても、それらを正確に組み立てるための設計図がなければ、家は完成することはありません。また、その設計図を読み取って、実際に作業をしてくれる大工さんも当然必要になってきます。

 

 私たちが生まれてから死ぬまでの生命活動のあらゆる情報が書き込まれている設計図の役割を果たしているのがDNA(デオキシリボ核酸)、さらにその情報を読み取ってアミノ酸を集め、体を作るためのタンパク質を合成する大工さんの役割を果たしているのがRNA(リボ核酸)です。核酸とはこの二つの物質のことを指し、生命の最小単位である細胞の中に存在しています。

 

 核酸は、「有機塩素ー糖ーリン酸」という3つおん化合物の複合体が鎖状に結合したものです。そして、この最小単位のことを「ヌクレオチド」(核酸が消化酵素によって分解されてできる物質)と呼んでいます。

 

 2種類ある核酸のうち、デオキシリボースという糖を含む核酸をDNA(デオキシリボ核酸)、リボースという糖を含む核酸をRNA(リボ核酸)と呼んで区別していますが、両者には他にも塩基の種類で一部違いがあります。

 

 母乳にはこの核酸やヌクレオチドが十分に含まれています。核酸の構造、そしてこれらの核酸にどのようなタンパク質の設計図が組み込まれ、遺伝情報がどのように写し取られていくのか、その詳しいメカニズムについてはまたの機会に。

 

母乳で育った赤ちゃんはアレルギーになりにくい

 

 日本では、1995年以降に発売された粉ミルクの一部に核酸成分が配合されています。核酸は人間以外の哺乳動物の母乳にはほとんど含まれていないので、従来の粉ミルクを飲んで育った赤ちゃんは核酸が摂れていなかったわけです。

 

 核酸入り粉ミルクが世界的に普及し始めたのは、その4年ほど前、1991年のこと。当時の欧州共同体(現EU)が「粉ミルクへの核酸の配合量」についての指針を打ち出したのをきっかけに、アメリカ、韓国、日本をはじめとした世界核国がそれに追随するかたちで「核酸関連物質」「ヌクレオチド」の配合をうたった粉ミルクの製造・販売を展開してきました。

 

核酸入り粉ミルクの歴史

 

 事の発端はEC通達が発表される前まで遡ります。

 

 20世紀初頭から人工乳の研究開発に着手してきた「粉ミルク先進国」アメリカでは、1970年代後半から乳幼児の間で、アトピー性の皮膚炎や喘息、花粉症といったアレルギー疾患が蔓延し、国を挙げての対策が急がれていました。そこで各専門機関が研究チームを作り、乳幼児の栄養状況について分析したところ、粉ミルクで育てた赤ちゃんは母乳で育てた赤ちゃんに比べてアレルギー疾患を発症する割合が大幅に高いことが明らかになりました。

 

 さらにその原因を解明するために、アレルギーの発症に関与しているIgE抗体の血中濃度を調べた結果、粉ミルクで育てた赤ちゃんのIgE抗体の量は母乳で育てた赤ちゃんよりも明らかに大いこともわかりました。

 

 このIgE抗体は本来、外から侵入してきた異物に対抗する役割を持ち、B細胞と呼ばれるリンパ球の仲間であるヘルパーT細胞で、作用の違いによって1型(Th1細胞)と2型(Th2細胞)に分けられます。

 

 このTh1とTh2は、互いに作用し合って免疫機能そのものやアレルギー反応を調整していますが、なんらかの原因で双方のバランスが崩れ、どちらかに傾くと、免疫反応に異常が現れます。現代人に多発するアトピーや喘息、花粉症などのアレルギー疾患(これらを1型アレルギーと呼ぶ)は、この2つのバランスがTh2に傾き、IgE抗体が過剰に生産された結果、発症する事がわかっています。

 

 多くの専門家たちがさまざまな研究を重ねた結果、母乳で育った赤ちゃんと粉ミルクで育った赤ちゃんとの間にこれほどの違いが見られるのは、核酸の優夢が影響しているのではないかと考えられるようになりました。実際に某大手乳業メーカーや遺伝子栄養学研究所の行った動物実験でも、母乳並みに核酸を転化した粉ミルクで飼育したマウスは、無添加の粉ミルクで飼育したマウスに比べ、血液中のIgE濃度が著しく低下することが確認されています。

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核酸入り粉ミルクの登場

 

 ここまで述べてきたように、国内外の乳業メーカーは母乳に限りなく近い粉ミルクを提供するために、1世紀(国内では半世紀)もの長きにわたって母乳研究を続けてきました。

 

 その過程で、配合する三大栄養素(タンパク質、糖質、脂質)の組成や比率を変えたり、各種ビタミンやミネラルを強化したり、ごく最近では脳の発育に役立つと言われているDHA(ドコサヘキサエン酸=不飽和脂肪酸の一種)や免疫機能を強化するγ-リノレン酸を配合するなど、さまざまな開発努力が繰り返し行われています。

 

 しかし、常に大きな壁として立ちはだかっていたのが、アレルギー疾患や下痢の症状が起こりやすいという現実。粉ミルクの普及とアレルギー疾患の因果関係についてはあらゆる角度から研究が進められてきましたが、どうやって改良すればアレルギー疾患の増加に歯止めをかけることができるのか、決定的な手段はずっと謎に包まれていました。

 

 そうしたなかでにわかに脚光をあびるようになったのが、核酸の存在でした。母乳で育った赤ちゃんは粉ミルクで育った赤ちゃんに比べてアレルギー体質になりにくい、なったとしてもなったとしても比較的症状が軽い場合が多いのは、母乳に多く含まれている核酸がアレルギーの発症を抑える働きをするためではないか、よいう説が有力視されてきました。

 

 その説を科学的に裏付けるために、乳業メーカー各社は母乳に含まれている核酸の含有量を測定し、さらにその数値から赤ちゃんの発育に必要とされる核酸の量を算出しました。

 

 まず、体重3kgの新生児が母乳から補う核酸の量は、1日あたり約120mgです。しかし、大人とは全く比較にならないほど急速に発達・成長を遂げる赤ちゃんの体内では、凄まじい勢いで細胞新生(新陳代謝)が行われています。そうした細胞の分裂・増殖を支えるエネルギーを蓄えるためには、1日におよそ480mgの核酸が必要です。

 

 では、残りの360mgはどうやって補うのか。実は、赤ちゃん自身が自分お肝臓で合成した核酸を利用しているのです。

 

 私たちの肝臓(一部は腎臓)には、食事から摂取した栄養素を代謝する際に核酸が二次的に同棲される仕組みが備わっています。専門的にいうと、「デノボ合成」と呼ばれています。赤ちゃんは、特別な病気でもしない限り、大部分の核酸を体内で作り出すことができるのです。

 

 とはいえ、自分の力だけでは1日に必要な量を補えないことも事実。活発な新陳代謝の過程で、毎日約120mgの核酸が尿から排出されていくので、やはり母乳から核酸を補充してあげる必要があります。核酸が転化されていなかった従来の粉ミルクを飲んで育った赤ちゃんに、アレルギー疾患が多発したり、発育不良の傾向が目立ったり、免疫力が弱かったりするのも、つまるところ核酸不足の影響が大きかったわけです。

 

核酸は母乳から補うのが基本

 

 核酸入り粉ミルクは以上のような経緯で誕生し、今や大勢のお母さんたちに利用されています。ただし、粉ミルクに核酸が添加されているからといって、「母乳は大変だから粉ミルクにきりかえる」とは決して思ってはいけません。本当に母乳不足で困っているならともかく、十分に与えられる限りは頑張って母乳を続けてください。

 

 なんども言いますが、赤ちゃんは母親のお乳を飲んで育つのがすべての哺乳動物に共通する自然の摂理です。そして母乳の成分も、初乳から成乳へと、赤ちゃんの状態に合わせてその時期に最もふさわしい栄養を与えられるようにできています。まさに神業ともいうべき仕組みは、どんな科学が進歩しても、人為的に作り出すことは不可能かもしれません。もちろん、乳業メーカーの長年にわたる努力によって粉ミルクの品質が飛躍的に向上したことは間違いありません。

 

 しかし、現在市販されている核酸入り粉ミルクのヌクレオチド(核酸の単位成分)含量は、100gあたり6〜20mg。つまり、先ほど説明した1日あたりの必要量を補うためには、粉ミルクだけでは足りない恐れも出てきます。なので、粉ミルクは母乳で補いきれなかった栄養を補うためのサポートとして利用するのがベストです。現実問題として、母乳がどうしても出ない、母乳だけでは足りないので粉ミルクの助けを借りなければならない、というお母さんが多いのはよくわかります。核酸入り粉ミルクを製造・販売する乳業メーカーも、さまざまな事情を抱えるお母さんを助けるべく、良質な粉ミルクの研究開発に力を注いできました。

 

 したがって、粉ミルクに過剰な期待をするのではなく、自分に最も適したものを選んで上手に利用することを心がけましょう。そうすれば、授乳の負担が軽減されて、赤ちゃんの発育にも必ず役立つはずです。

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