不思議Labo

遺伝子ってなに?iPS細胞ってなに?

iPS細胞について 人体を構成する細胞の特殊性とは?

幹細胞と万能細胞の違いは?

投稿日:08/15/2015 更新日:


Sponsered Link

 幹細胞とは臓器を修復する能力(これを再生能力と言います)をもった特別な細胞であると、「幹細胞とはなにか?」でお話しました。それに対し万能細胞とは、もっと普遍的にどんな細胞にも変化することができて、どんな傷でも治すことのできる能力(多分化能)と、そういう細胞に変化しても細胞分裂を行うことで自分自身のコピーを生みだし、その万能性を失わない能力(自己複製能)をあわせもっている細胞です。いわば幹細胞の王様で、その代表的なものが受精卵です。

 

 つい最近まで、私たちの哺乳類のような高等動物は、成長した体内には受精卵のような万能細胞が存在せず、消滅してしまっていると考えられてきました。実際に今の医学教育においてもヒトの体内に万能細胞など存在しないことを前提に治療理論が構築・講義されています。

 

 一方、かなり昔から、プラナリアという生物は、体の中にどんな細胞でも生みだすことのできる万能細胞が存在していることが知られていました。すなわち体を半分に切ると、切り口に万能細胞が集まって体の足りない部分の細胞をどんどん生み出していくため、体全体をもとどおりに再生することができるのです。このように、どんな器官にもなりうる多分化能をもった細胞のことを万能細胞といいます。

Sponcsered Link

sabah-malaysia-borneo-16161569-l(プラナリア)

 私たち高等動物は、もちろん傷を治したり病気から立ち直ったりするために必要な幹細胞を体内にもっていますが、幹細胞の王様、オールマイティーな万能細胞は消滅していて、手に入れることはできないということになっています。われわれ自分自身が実際にもっている幹細胞の能力は非常にかぎられているため、数種類の細胞しかつくることができず、再生能力にも限界があります。しかし、受精卵の発生段階における初期胚で、受精卵を同じようにあらゆる細胞に分化する能力をもつ万能細胞である胚性幹細胞を治療に利用すれば、現在の治療倫理体系では絶対に不可能な病気の治療ができるはずだと考えられてきました。しかし胚性幹細胞は受精卵からつくられるため、生命の可能性を壊すことになり、生命倫理的に問題視されてきたのも事実です。

Sponcered Link

-iPS細胞について, 人体を構成する細胞の特殊性とは?
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

培養皮膚の仕組み

Sponsered Link 以前に『傷が治る(再生する)仕組み』をお話しました。その中で直径6cm以上の皮膚が毛穴ごと全部なくなってしまったらその傷は理論的にはふさがらない、再生されないと書きました …

no image

がん細胞とは?

Sponsered Link  これまでも説明してきましたが、ヒトの体は細胞からできています。がんは、ふつうの細胞から発生した異常な細胞のかたまりです。がん細胞は、体の命令を無視して増え続けているため …

no image

人工授精と再生医療

Sponsered Link  配偶子(卵子と精子)には問題がなく、卵管や精子数などそれ以外の原因で子供ができない夫婦のために、人工授精すなわち、体外受精と呼べれている技術が使われています。体外受精は …

no image

臓器と細胞の違い〜細胞の集合体が臓器ではない〜

Sponsered Link  みなさんは「臓器とはなにか?」と質問されれば、迷うことなく心臓や肝臓などの臓器を思い浮かべるのではないでしょうか。そしてみなさんは、これらの臓器がそれぞれ異なる「はたら …

no image

万能細胞で夢の新薬は開発されるのか?

Sponsered Link  「夢の新薬」。人それぞれの考えがあるかもしれませんが、私は世界に数えるほどしか患者がいない難病に対する薬を夢の新薬だと考えています。がんに対する治療薬でさえいまだ十分効 …