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iPS細胞について 人体を構成する細胞の特殊性とは?

トカゲのしっぽは生えるのに、なぜ人間の指は生えないのか?

投稿日:08/15/2015 更新日:


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 みなさんはトカゲを見つけて、しっぽをつかんだ経験はありませんか? 私は小さいころ、トカゲを見つけてはしっぽをつかんでよろこんでいると、気づいたら手にはしっぽだけしかなく、トカゲがいなくなっていることがよくありました。これは、トカゲが敵に襲われそうになったとき、自分でしっぽを切って敵がそのしっぽに目を奪われている隙に逃げてしまうという行動をとるからです。

トカゲ

 

 トカゲはこのようにして身を守りますが、ただ、しっぽを切って終わりではなく、切れてなくなってしまったしっぽはいずれ再生され、また立派なしっぽが生えてきます。このように、トカゲは切断されたしっぽを再生させる仕組みをもっていますが、なぜトカゲのしっぽの細胞は、しっぽをつくれるのでしょうか? トカゲのしっぽは切断されると、しっぽの先端にある細胞が外気に触れ、活性化されます。そして活性化された細胞は、分裂を繰り返していろいろな役割をもった細胞に分化していき、新しいしっぽがつくられるのです。

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 ちなみにトカゲが切断されたしっぽを再生させつ仕組みは、ほんの少し前まで完全には解明されていませんでした。しかし2007年、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジの研究チームが、再生させる際に主要な役割を果たすタンパク質の分子シグナルを発見したのです。この発見により、切断された分子の近くの神経細胞と上皮細胞がnAGと呼ばれるタンパク質を分泌することで、新たな器官や足を生み出す未分化細胞である芽細胞(より万能細胞に近い幹細胞)を刺激し、その形成が促進されることがわかりました。

 もちろん、このような仕組みは人間にはありませんから、なくした指は二度と生えてきません。現代の治療体系の延長線上には、無くした指をふたたび生やすことは不可能です。死んでしまった人間をよみがえらせることと同じくらい不可能です。しかし「ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞の違いは?」でお話したiPS細胞とnAGと呼ばれるタンパク質さえあれば、人間の切断された指はもとに戻るような気がします。ただ、いくらiPS細胞の技術と分子シグナルの研究が進んでも、今後なくした指が生えてくる可能性はかなり低いと思います。しかしゼロだった可能性が0.1%くらいになったかもしれません。「ゼロ」と「少しはある」とは、大きな違いなのです。

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