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 現在における生命科学の進歩は、さまざまな細胞を操作する技術を生み出しました。これらの基本技術を用いたいくつかの具体的な細胞操作例についてもお話しましょう。

 

 ヒト体性幹細胞(決められた臓器にしかなることができない)の利用に関してはある程度成功し、技術も確立しています。ほかに皮膚幹細胞(皮膚に分化)や角膜幹細胞(角膜に分化)、骨髄や脂肪組織中に存在する間葉系幹細胞(骨、軟骨、血管などに分化)などがあり、これらはすでに臨床研究で用いられています。また、ヒト胚性幹細胞(ES細胞や万能細胞)については、米国のバイオベンチャーであるジェロン社で、脊髄損傷の患者に対して能や精髄の神経細胞を保護する役目をもつ細胞を精髄に注入する治療の臨床試験が始まっています。

 

 そのほかにも、たとえば東京医科女子大学で開発された細胞シート技術は、直接患部の表面に貼りつけて機能を回復させるもので、現在、角膜で臨床応用され、心筋にも応用されつつまります。iPS細胞については世界中で注目を集めていますが、まだ始まったばかりの技術のため、がん化を含め、予期せぬ事態が起きるのではないかという懸念もあり、臨床応用はまだ先ではないかと考えられています。

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細胞シート技術細胞シート技術

 しかしiPS細胞をはじめとしたこれら現在用いられている再生医療の中核となるのは、遺伝子を知り、遺伝子を人工的にコントロールする技術といっても過言ではありません。特にiPS細胞の作製には、遺伝子を操作する技術が充実していたことによる要因が大きいでしょう。もちろんその背景には、がん遺伝子の研究や細胞制御の研究などがあったことは当然です。

 少しわき道にそれますが、遺伝子の研究や遺伝子の操作には、生命と物質の境界(いまだに議論が分かれる)のようなウイルスが非常に重要な役割を果たしていまして、いまでも遺伝子導入の有効な手段としてウイルスはもっとも有用です。そういうことを考えると、ウイルスという構造物は、もしかしたら神様が人類に与えた、鉄や電気、火といったものと同じ福音なのかもしれません。

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