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これまで細胞についていろいろお話してきました。受精卵は非対称性の細胞分裂を繰り返し、いろいろな役割をもった細胞を200種類以上つくりだします。その後、これらつくりだされた細胞がマトリックスをつくりだし、臓器を形成します。その臓器が有機的に協力して、私たちは哺乳類という1つの生命ができているのです。すべてはたった1個の細胞、そしてたった1対のDNA(父と母の合体した遺伝子情報)から始まっています。そして、細胞分裂は対称性分裂であろうと、非対称性分裂であろうと、受精卵の細胞分裂であろうと私たちの髪の毛が伸びるために行われる細胞分裂もまったく同じで、遺伝情報を各細胞に均等に振り分けます。つまり、細胞にある遺伝情報はどの器官でも同じなのです。この話を聞いて、みなさんが不思議な感じがするのも無理はありません。

 

 われわれの体を構成する細胞は始祖の1対のDNA(父と母の合体した遺伝情報)という同じ情報なのに、どうして細胞の働き方がこうも違うのでしょうか? 先ほども触れましたが、遺伝情報をもつDNA配列は同一であるにもかかわらず、ある細胞は心臓になったり、またある細胞は皮膚になったりと、その形態はさまざまです。つまりここには、なんらかの遺伝子の発現を制御する仕組みが存在しているのです。

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 たとえていうと、われわれを構成する60兆個の細胞は等しく万能の体の設計図をもっていますが、心臓の細胞は心臓の設計図以外は働かなくする仕組みが備わっています。その機構としては大きく2つが知られています。そのDNAのメチル化ヒストン修飾です。メチル化はおもにシトシンをメチル化することで、遺伝子にカギをかけてその発現を制御します。ヒストンはDNAを取り巻くタンパク質で、メチル化やアセチル化、リン酸化などの修飾を受けることで遺伝子の発現が制御されています。たとえば、ヒストンがアセチル化されているとDNAとタンパク質の複合体(クロマチン)は開き、遺伝子の発現が始まります。

DNAのメチル化

 このように皮膚の細胞の遺伝子は皮膚の部分だけカギが外れており、心臓の細胞では心臓の部分以外はカギがかけられていると考えていいでしょう。ちなみに、そのカギを人工的に全部外してしまうことに成功したのがiPS細胞なのです。

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