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 京都大学の山中伸弥教授の研究グループが開発した万能細胞のiPS細胞は倫理的問題がクリアできる可能性が高いことから、ES細胞研究やクローン研究を凌駕する数のグループ研究が世界中で進められています。ここでは現在、iPS細胞の研究がどこまで進んでいるのかをお話します。

 

 2007年11月、人間の皮膚から製作されたiPS細胞によって患者と遺伝情報が同じ細胞が作製でき、拒絶反応のない移植医療実現の可能性が見えてきました。2010年3月、奈良県立医大の研究グループが、マウスのiPS細胞から腸をつくる、すなわち万能細胞であるiPS細胞から臓器をつくることに世界で初めて成功しました。この成果から、治療が難しい炎症性の腸疾患や先天的な運動異常症などの病態の解明、治療法の開発が期待されています。

 

 2011年8月、京都大学でiPS開発者である山中教授とは別の研究グループがiPS細胞を使って精子をつくりだし、それを卵と体外受精させてマウスを誕生させることに成功しました。これによって、発生メカニズムの解明、不妊症の原因研究や研究などの可能性がでてきましたが、一方で、ヒトの生殖細胞製作につながる技術であることから倫理的問題が生じると考えられています。

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精子作製

 このように、再生医療に向けた研究が進む一方で、医療とはまったく別の目的にiPS細胞技術が使われだそうとしています。性別に関係なく精子や卵子を作成したり、生殖能力を失った個体から精子や卵子もつくれるiPS細胞の特性を利用し、絶滅危惧種の人工的な繁殖に向けた検討もされているそうです。

 

 2011年9月、アメリカ・カリフォルニアのスクリップス研究所などのグループが、世界に7頭しか生息していないとされているキタシロサイのメスの皮膚から、また西アフリカで生息数の現象が続くサルの一種マンドリルの死んだオスの細胞からiPS細胞の作製に成功しました。

 こうした万能細胞を使って、医療の世界だけではなく、種そのものの存続さえ人類でコントロールできる技術の開発が、世界中のさまざまな研究所で取り組まれているのです。

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