不思議Labo

遺伝子ってなに?iPS細胞ってなに?

iPS細胞について 細胞を用いる医療とその可能性

傷の再生の仕組み

投稿日:08/22/2015 更新日:


Sponsered Link

 人の再生能力のところで傷の再生を例として取り上げてきました。一度傷ついた場所がもとどおりになっていくことは誰もが経験することで、決して特別ば出来事ではありません。しかしよく考えると、少し不思議な気がします。生き物だけに見られる現象で、そのほかでは決して起こりません。細胞が生きているからこそできるワザなのです。ここでは傷の再生の仕組みについて、細胞の視点でお話していきましょう。逆にいうと傷を再生させる主役は細胞の営みなのです。そして細胞は細胞分裂でしか生まれません。

 

 さて傷の再生の仕組みは大きく分けて3段階あります。

(1)炎症期は傷に血小板が集まり、活性化され凝集して止血が起こります。そして、白血球(好中球)やマクロファージが組織内へ入り込んでいきます。これは傷口が細菌などに感染するのを防ぐために起こる体の防衛反応です。このとき、傷口が赤く腫れて傷んだり、熱をもったりする炎症といわれる現象が生じます。

Sponcsered Link

(2)次に傷口の片縁にある表皮細胞は盛んに分裂し新しい表皮が露出した真皮をおおい始めます。さらに表皮細胞は、傷の片縁からばかりからではなく毛穴にも存在しているため、浅い傷ですと毛穴からも表皮が分裂し始めて傷をおおいます。しかし、一般的に表皮細胞は3cm程度しか移動しないため、理論的に毛穴までなくしてしまった表皮(皮膚全層欠損)の直径が6cm(3cm×2)までならば、自然に治癒しますが、それ以上の皮膚全層欠損であれば、植皮などの人為的な手術をしなければなりません。いずれにしても表皮でおおわれた下の部分の修復も同時に始まります。ここでは血管の新生が行われ、傷の修復役である線維芽細胞などが集まって肉芽が形成されます。

(3)最後に成熟期に入り傷口がふさがれると、肉芽は縮小し、線維芽細胞からつくられたコラーゲンを主体とした白い傷跡になります。やがて傷は再生され、4ヶ月〜1年で目立たなくなります。

傷の再生の仕組み

 このように傷の再生においては、血小板、白血球、マクロファージ、表皮細胞など、実にさまざまな細胞が働きかけています。

Sponcered Link

-iPS細胞について, 細胞を用いる医療とその可能性
-, , , , , ,

執筆者:


  1. […]  『傷の再生の仕組み』で、傷の再生のなかで表皮細胞などがどのように関わっているのかをお話しました。ここでは世界で初めて再生医療の対象になった皮膚についてお話します。 […]

  2. […] 以前に『傷が治る(再生する)仕組み』をお話しました。その中で直径6cm以上の皮膚が毛穴ごと全部なくなってしまったらその傷は理論的にはふさがらない、再生されないと書きました。 […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

遺伝子を操作する技術

Sponsered Link  今世紀のもっとも偉大な発見である万能細胞、iPS細胞が体細胞に数種類の遺伝子を導入することによって作製されることは、あまりにも有名な事実です。もちろんこのiPS細胞を作 …

no image

受精卵とはなにか?〜その能力〜

Sponsered Link  これまで受精卵という言葉を使って説明してきましたが、受精卵にはいったいどのような能力が備わっているのでしょうか?古くは、受精卵の中に子孫の雛形(小さな人の形をしもの)が …

no image

世界で行われている万能細胞研究

Sponsered Link  京都大学の山中伸弥教授の研究グループが開発した万能細胞のiPS細胞は倫理的問題がクリアできる可能性が高いことから、ES細胞研究やクローン研究を凌駕する数のグループ研究が …

no image

どうやって再生するのか?

Sponsered Link  再生医療による治療のステップは、再生しようとする臓器を構成する細胞(群)を手に入れる、もしくはつくりだすことから始めます。目的の臓器が残っている場合は、その臓器から細胞 …

手に入れたもの、失ったもの

Sponsered Link  科学の発展にともなって私たち人類は多くのものを手に入れてきました。医学の分野では万能細胞(胚性幹細胞:ES細胞、人工多能性幹細胞:iPS細胞)を操り、髪の領域に足を踏み …