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iPS細胞について 細胞を用いる医療とその可能性

不老不死は実現できるのか?

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 日本は世界一の長寿国といわれています。医療や公衆衛生などの環境の向上によって寿命は格段に上昇し、100歳を超えるヒトが増えてきたのも事実です。そして、3大死因と呼ばれる「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」が完全に克服されれば、日本人の平均寿命は120歳まで伸びるともいわれています。

 

 このような状況を見ると、不老不死も夢ではないように感じてきます。21世紀はバイオの時代ともいわれているように、バイオテクノロジーが飛躍的に進歩し、なかには常識をくつがえす大きな発明もなされました。中国の秦の初代皇帝、始皇帝は不老不死を求め続けましたが、この先、不老不死は実現するのでしょうか?

 

 細胞が細胞分裂する回数には限界があり、これはテロメアというDNA配列が分裂のたびに短くなっていることが原因の1つであるということをお話ししてきました。そこでこのテロメアの長さを短くすることなく維持できれば細胞老化が起きなくなり、細胞の集合体である生命体も不老不死になるかもしれません。

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 テロメラーゼという酵素は、不死化細胞であるがん細胞中で発見されました。いったん短くなったテロメアをふたたび伸ばす酵素で、ひょっとすると不老不死解明のきっかけになるかもしれません。しかし正常細胞からはテロメラーゼだけで不老不死が実現することはないでしょう。

 そのほか、正常細胞にはあるが不死化細胞にはないモータリンと呼ばれるタンパク質の存在も明らかになってきました。老化した細胞にモータリンの働きを抑える中和抗体を注入する実験を行ったところ、テロメアが長くなり、老化してしまった細胞がふたたび細胞分裂を始めたそうです。その後、不死化細胞の中にもモータリンが発見されました。正常細胞では細胞質に散らばっているモータリンが不死化細胞の核の周りだけにあり、アミノ酸組成も違うことが明らかとなりました。正常細胞のモータリンのほうをモータリン1、不死化細胞のほうをモータリン2として区別しています。モータリン1はテロメラーゼの活性を抑えているとも考えられており、これも人類の不老不死へのあくなき欲求が成し遂げた成果です。しかし、不老不死はどんなに科学が発達しても不可能かもしれません。

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