不思議Labo

遺伝子ってなに?iPS細胞ってなに?

細胞を用いる医療とその可能性

つくれる臓器とつくれない臓器

投稿日:


Sponsered Link

 みなさんも、もちろん私も、もとをたどせば受精卵というたった1個の細胞です。1個の細胞は妊娠初期(2ヶ月)で完全な人間となり、心臓も脳も肺も手足も完全にできあがってしまいます。もちろん体のサイズは小さいので、妊娠10ヶ月のうち後半の8ヶ月は、ただひたすらサイズを増やすために使われます。

 

 万能細胞であるiPS細胞は、なににでもなれる細胞という意味では、この受精卵ときわめて似た性質をもっています。従ってiPS細胞を用いれば人間をつくることもできますし、人為的につくれない臓器というのは理論的にはありません。しかし10年〜20年という現実的なスパンになると、つくれない臓器がほとんどでしょう。

 

 現時点でつくれる臓器として考えられているのは、皮膚、角膜、血管、骨、軟骨、神経などです。これらの臓器の特徴は、比較的単一の細胞から構成されていることです。細胞医療である再生医療は、臓器といういろいろな細胞の複合体をつくりだす技術というより、細胞そのものをつくりだす技術だからです。実際に皮膚の再生医療である培養皮膚のように、臨床の現場ではすでにスタンダードな治療手段になっているものもあります。

Sponcsered Link

 

 その反面、複数の種類の違う細胞群から構成されている臓器、たとえば心臓、腎臓、肝臓などをつくることはかなり困難で、指や手、足などは複雑さをきわめます。指とは、いちばん小さな小指でも骨や腱、筋肉という運動系、それらを統一的に動かす神経、運動系に栄養を送る血管、そしてそれらをおおう皮膚、爪など、非常に多岐にわたる細胞と組織から繊細・巧妙につくりあげられています。簡単に「指」をつくる、「指」を再生させるといっても、これらのすべてつくることにほかならないのです。耳にしても外耳や鼓膜、耳小骨、内耳、聴神経など同様です。指が再生医療でよみがえったという耳を疑うようなミュース報道がありましたが、現実問題としてそれはネッシーや雪男と同じオカルト以外のなにものでもありません。

再生医療

 しかし、いずれ人間と豚とのキメラ(混合動物)を臓器工場として稼働させれば、複雑さを極める臓器の製造は可能になるときもくるでしょうが、我々の脳に蓄積された喜怒哀楽が織り成す「精神」「魂」「心」の再生は決してできないでしょう。or

Sponcered Link

-細胞を用いる医療とその可能性
-,

執筆者:


  1. […]  「つくれる臓器とつくれない臓器」のページで、複数の細胞群からできている臓器(器官)は再生医療の恩恵にあずかることが難しい、さらに現時点で再生医療の対象になるのは比較的 […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

皮膚を維持する仕組み

Sponsered Link  『傷の再生の仕組み』で、傷の再生のなかで表皮細胞などがどのように関わっているのかをお話しました。ここでは世界で初めて再生医療の対象になった皮膚についてお話します。 &n …

no image

なぜ万能細胞は期待されるのか?

Sponsered Link  万能細胞とは「どんな期間・臓器にもなりうる多分化能をもった細胞」とお話してきました。では、いったいこの万能細胞を使うことでなにが期待できるのでしょうか? ある程度知識を …

手に入れたもの、失ったもの

Sponsered Link  科学の発展にともなって私たち人類は多くのものを手に入れてきました。医学の分野では万能細胞(胚性幹細胞:ES細胞、人工多能性幹細胞:iPS細胞)を操り、髪の領域に足を踏み …

no image

不老不死は実現できるのか?

Sponsered Link  日本は世界一の長寿国といわれています。医療や公衆衛生などの環境の向上によって寿命は格段に上昇し、100歳を超えるヒトが増えてきたのも事実です。そして、3大死因と呼ばれる …

no image

人工授精と再生医療

Sponsered Link  配偶子(卵子と精子)には問題がなく、卵管や精子数などそれ以外の原因で子供ができない夫婦のために、人工授精すなわち、体外受精と呼べれている技術が使われています。体外受精は …