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細胞を用いる医療とその可能性

毛髪は再生はなぜ難しいのか?

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 「つくれる臓器とつくれない臓器」のページで、複数の細胞群からできている臓器(器官)は再生医療の恩恵にあずかることが難しい、さらに現時点で再生医療の対象になるのは比較的単一の種類から構成される臓器であろう、と書きましたが、その観点からしても毛髪再生は難題です。ただ、指のように数十種類からなる複雑な器官を完全に復元するほど困難ではありません。

 

 毛髪は、毛髪そのものになる毛包幹細胞と、毛髪に色をつける色素幹細胞という2つの細胞を再生させなければなりません。これら2つの細胞は、毛根の中にあるバルジと呼ばれる領域に存在します。そして、この2つの細胞はお互いに協力し合って毛という臓器をつくるのです。広島大学では、毛包幹細胞のみを使ってマウスの背中にヒトの毛を生やすことに成功しましたが、色素細胞は再生させていないので、白髪でうぶ毛のような毛髪しかできていません。一般に髪の再生といった場合に連想する、フサフサで力強い髪の毛とはかなり違うものです。髪の薄い男性の救世主となる代物ではありません。

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毛包の構造

 蓬髪と同じように、2つないし3つの細胞が協力し合って初めて臓器として機能するものがあります。皮膚や血管です。皮膚は真皮と表皮からなり、真皮には真皮細胞があり、表皮には表皮細胞があります。真皮細胞は表皮細胞が安定してその部分で働ける環境を整える働きをもち、表皮は外界から真皮細胞を守る役割をします。そのどちらかが欠けても皮膚にはなりません。これらの働きを細胞間相互作用といいます。

 また血管も単純に血液を流すホースではありません。血液は必要な臓器に必要な量流れなければなりません。運動しているときには筋肉に、勉強しているときには脳にというように、ホースを拡張させたり縮小させたりする筋肉が必要不可欠です。すなわち血管自体が臓器として機能するためには、血管というホースをつくる血管内皮細胞と、ホースの内空を調節するための平滑筋細胞という2つの細胞が必要になるのです。この2つの細胞のおかげで血管は統制の取れた動きをして、血圧を調節したり、必要な臓器に優先的に血液を送り届けることができるのです。

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