不思議Labo

遺伝子ってなに?iPS細胞ってなに?

iPS細胞について 細胞を用いる医療とその可能性

なぜ万能細胞は期待されるのか?

投稿日:08/23/2015 更新日:


Sponsered Link

 万能細胞とは「どんな期間・臓器にもなりうる多分化能をもった細胞」とお話してきました。では、いったいこの万能細胞を使うことでなにが期待できるのでしょうか? ある程度知識をおもちの方なら、「万能細胞は、目的とする細胞・組織・臓器を自由につくれるため、移植に使えるのではないか」と答えるのではないかと思います。

 

 確かにそのとおりなのです。つけ加えれば、患者自身から万能細胞を作製するiPS細胞という技術を用いれば、これまでの他人の臓器を移植する移植医療と異なり、拒絶反応のない臓器を移植できるのです。これまでの他人から摘出してそれを別の人に移植する臓器移植では、ドナーの提供が必要であったため、治療が必要な人全員がその恩恵にあずかれるとはかぎりませんでした。こういった問題が万能細胞によってなくなれば、今後ドナーの提供がなくても移植できるようになります。

Sponcsered Link

 

 しかし、そこには乗り越えなくてはならない大きなハードルがあります。iPS細胞が開発される前までは2つの大きなハードルがありましたが、生命倫理というもっともやっかいなハードルを乗り越えたことで、残るハードルは安全性だけになりました。すでに万能細胞を使って再生された臓器(クローン)はきわめてがんになる確率が高いということは説明しました。病気は治ったけれどがんになった、では困ります。もちろんそのほかに、マトリックスの問題、細胞相互作用の問題などなど、乗り越えなくてはならない課題はたくさんありますが、そう遠くない将来、実際の臨床の場に万能細胞やiPS細胞が登場することでしょう。

 そのほか、次項の『万能細胞で治る可能性のある病気』で述べる新薬の開発や病気の診断といった分野でも、そのの応力や用途が期待されています。このことから万能細胞は、いままでにないまったく新しい医学分野を開拓する可能性を秘めています。しかし一方で、男性から卵子、女性から精子をつくることが可能になることから、同性配偶による子の誕生も可能であり、技術的適用範囲には十分な議論が必要になります。

万能細胞が期待されるワケ

Sponcered Link

-iPS細胞について, 細胞を用いる医療とその可能性
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

再生医療はどうやって発展していくのか?

Sponsered Link  がんにおかされた臓器や、古くなった体のパーツは丸ごと取り換えるという非常にドラマチックなことも理論的には可能な再生医療。しかし現実的には、文部科学省が平成21年に策定し …

no image

がん細胞とは?

Sponsered Link  これまでも説明してきましたが、ヒトの体は細胞からできています。がんは、ふつうの細胞から発生した異常な細胞のかたまりです。がん細胞は、体の命令を無視して増え続けているため …

no image

いま現実になっている再生医療

Sponsered Link  「細胞を用いる医療とその可能性」では再生医療とはなにかについて基礎的なことを中心にお話してきました。再生医療についてだいぶ理解できたのではないかと思います。さらに理解を …

no image

幹細胞と万能細胞の違いは?

Sponsered Link  幹細胞とは臓器を修復する能力(これを再生能力と言います)をもった特別な細胞であると、「幹細胞とはなにか?」でお話しました。それに対し万能細胞とは、もっと普遍的にどんな細 …

no image

細胞の仕組み〜エネルギー生産、タンパク質製造〜

Sponsered Link ■エネルギー生産  エネルギー生産における代謝には、生きるために必要なエネルギーを環境から取り入れることと、細胞を構築することの2つの目的があります。生物が環境から取り入 …