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 太古の地球に偶然に出現した有機物から拡散へ。こうして生命は始まりました。自己複製を繰り返すだけの原始細菌(単細胞生物:細胞1個だけからなる生命体)には、細胞の特殊化(分化)という概念はほとんどありません。分裂する前の細胞は、分裂することによって違う細胞に変化せず、分裂後の2つの細胞は、親も子もなく完全にもとの細胞のコピーです。

 

 一方、私たち哺乳類はどうでしょうか? 私たちの体は皮膚、胃、肝臓、などさまざまな臓器からできており、機能や形状も異なるようにこれらの臓器は別々の細胞で構成されています。どの細菌も基本的には同じ受精卵を起源とし、同じ遺伝情報をもっているのに別々の細胞になれるのは、使う遺伝子を使わない遺伝子に目印をつけているからなのです。これをエピジェネティクスといいます。皮膚から歯が生えないことに象徴されるように、エピジェネティックな目印の特徴は、いったんつくと容易には外れないということです。

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 受精卵の細胞分裂が進み、やがて胚盤胞と呼ばれるまで分裂を繰り返した時点で、そのすべての細胞(正確には内細胞塊)は、なににでもなることができる性質をもっています。先ほどお話したエピジェネティックな目印が、なに1つ付いていない状態です。したがって胚盤胞の細胞を使って死なない細胞、分化していない万能細胞(胚性幹細胞:ES細胞)をつくりだすことばできます。原始細菌(細胞)にはエピジェネティックな目印がなに1つついていない、とお言い換えられます。

ES細胞,iPS細胞

 プラナリアは三胚葉性動物・脳をもつ動物ですが、エピジェネティックな目印がいったんついた細胞であっても、体を構成する細胞の全てが初期化・リプログラミングされる能力を備えているため、体を半分にしても頭から胴体が生えてきて、胴体からは頭が生えてきます。死なないのではなく、老化して胴体が死ぬ前に分裂し、別の新しい複数の個体になるのです。

 原始細菌から魚類へ、魚類から両生類へ。そして人類へ。高度な進化の歴史とは、エピジェネティックな目印が複雑化する歴史であり、細胞の万能性を放棄するのと引き換えに、非常に特殊な能力を獲得した細胞の集合体へ、より高度な生命体へと進化した歴史なのです。そして私たちは、同じ高度な進化と引き換えに自己複製機能を失いました。

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