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遺伝子ってなに?iPS細胞ってなに?

iPS細胞について 細胞を用いる医療とその可能性

クローンと万能細胞の関係

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 移植技術において常に問題となるのが、ドナーの提供と拒絶反応です。ここでは拒絶反応に焦点を当てることとします。

 

 人間の体に他人の細胞・組織・臓器が入ると、それを異物と認めてしまい、体の中で除去する方向に向かってしまうことがあります。これを拒絶反応と呼んでいます。しかし、自分の細胞だったらそのようなことはなく、なにも違和感なく体は受け入れてくれます。

 

 すべての始まりの受精卵とそれが細胞分裂を繰り返しできた私たちの体にある約60兆個の細胞の中には、まったく同じ遺伝子が含まれていることをお話ししてきました。自分の細胞とは同じ遺伝子をもった細胞ということで、一卵性双生児の兄弟姉妹同士は個体は2つでも、生物学的には同一人物です。ちなみに、一卵性双生児の姉の細胞からつくった培養皮膚で妹の皮膚の治療を行うなんてこともあります。これは、遺伝学的にまったく問題のない行為です。

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 移植技術では、クローン技術と万能細胞が重要になってきます。クローンとは、遺伝的にまったく同じ個体をつくることですが、最近注目されてきているのが体細胞クローンです。体細胞は、万能細胞である受精卵が分裂を繰り返し分化し、特定の細胞・組織・臓器にしかならなくなった細胞です。いくら分裂しても特定の細胞にしかならないので、体細胞からクローンの細胞をつくることは不可能であると思われてきました。しかし、1997年にイギリスで体細胞の核を、除核した未受精卵に導入することでクローン羊のドリーを作製することに成功し、世界を驚かせました。

羊のドリー

 このクローン細胞技術に万能細胞を組み合わせることで、今後、治療の幅が広がると考えられます。たとえば、万能細胞であるES細胞を除核し、それに患者の体細胞の核を導入することで、患者の細胞にすることができます。さらに培養条件を変えることにより、目的とする患者の細胞・組織・臓器を作製することが可能です。これによって、拒絶反応がない理想的な移植を実施することができるようになります。

 このように、クローンと万能細胞の組み合わせは、さまざまな治療に応用できると考えられ、今後世界に注目される技術の1つです。

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