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iPS細胞について 細胞を用いる医療とその可能性

老化は万能細胞で止められるのか?

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 私たちは1個の受精卵から始まり、赤ちゃんとし誕生し、子供から大人になります。月日が経つにつれて老化し、肌にしわやたるみがでたり、病気が治りにくくなったりしていきます。老化とは、私たちが逃れることのできない運命だと思われます。しかし、これまで学んだ万能細胞が発見されたことで、老化を止めることができるようになるのでしょうか?

 

 老化のメカニズムは十分解明されているわけではありませんが、その候補の1つとして、染色体の末端に存在するテロメアの短縮があります。通常の細胞の場合、分裂前の細胞( 母細胞)と分裂してできる2つ以上の細胞(娘細胞)は、原則母細胞のコピーであり、機能的な差がまったくないのは事実ですが、実はテロメアと呼ばれる部分だけが異なっているのです。体細胞は、細胞分裂を繰り返すたびにテロメアが短くなり、ある一定の長さになると分裂できなくなってしまいます。これが老化の1つの機序であろうと考えられています。ただ、万能細胞は分裂を繰り返してもテロメアの長さは維持されています。もし、体細胞が万能細胞のようにテロメアの長さを維持し続けることが可能ならば、老化を防げるかもしれません。

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テロメア

 最近、これに関連した報告がありました。2010年2月に先天性角化異常症患者(染色体の両端部にあるテロメアが異常に短くなる難病)の皮膚細胞からiPS細胞をつくり、テロメアの長さを回復されることに成功したそうです。先天性角化異常症では、テロメアが短くなることから老化が早まるほか、貧血や皮膚の異常などの症状があります。今回の成果で、老化のメカニズムが一歩前進するとともに、万能細胞で老化を防ぐことができる可能性が生まれました。しかし一方で、2010年2月にヒトiPS細胞由来の血管芽細胞では増殖・分化能が劣り、ヒトiPS細胞由来の血管内皮細胞および網膜色素上皮細胞では早い細胞老化がみられることを示した論文が発表されました。

 万能細胞の研究はまだ始まったばかりであり、現実には乗り越えられない壁がまだまだあります。

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