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 そもそも、サイトを閲覧しているあなたも私も、もとをただせばたった1つの細胞にすぎなかったのです。そう、受精卵というたった1つの細胞です。その細胞が2つになり、4つになり、8つになり…桑実胚(そうじつはい)となり、やがて心臓ができて、骨ができて、筋肉や内臓ができていきました。

 

 1つの細胞が万物の創造主のような可能性を秘めていることは、かなり以前から知られていました。そして一度、姿を変えて(細胞分化)しまった細胞(たとえば受精卵の一部はやがて皮膚を構成する細胞へと姿を変えます)は、もう元には戻らないと考えられていました。年老いた体が若返ることがないのと同じように。

 

 しかし、近年、ひとたび分化をして姿を変えても、もう一度あと戻りできるポテンシャルを細胞そのものがもっていることもわかってきました。がんの研究者は、早くからこの可能性を指摘していました。がん細胞は実に不思議な細胞です。たとえば肝臓、皮膚、血管などに姿を変えた細胞が、ある日突然、受精卵のような、はるか昔、まだわれわれがたった1個の細胞だったときのような発生初期の細胞と同じ性質をもち、不死化と無限の増殖能力、そしてなにより「姿を変える」能力を獲得するのです。

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 姿を変える能力(細胞分化)は、受精卵になくてはならない能力です。その能力がないと、受精卵はいくら分裂しても、受精卵が約60兆個ただできるだけで、皮膚や目や骨はできません。がん細胞も同じように、今はまだはっきりした理由はわかりませんが、姿を変える能力(細胞分化)をもっているのです。

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 皮膚はいつまでたっても皮膚でないと、そして肝臓はいつまでたっても肝臓でないと困ります。しかし、がんは自分とは違うものい姿を変えるもつ細胞ですから、どんどん分裂し、どんどん増殖していくのです。

 

 iPS細胞はどうしてがん遺伝子をつかっているのだろう? 初めからそんな危険なものを使わなければいいのに…。そう考える人も少なくありません。しかし、がん細胞と幹細胞と呼ばれる細胞には、非常に多くの共通点があります。再生医療とはたんに再生させる医療ではなく、がんの治療や予防を行う医療でもあるのです。

 

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