不思議Labo

遺伝子ってなに?iPS細胞ってなに?

ヒトゲノム計画

物理地図とは何か

投稿日:


Sponsered Link

DNAの長さに基づく地図

 

 物理地図は、物として実体のあるDNAをベースにつくる地図です。長さの単位は、何千塩基対(以下、1000塩基対を1kbと表示、キロベース)とか、何百万塩基対(100万塩基対を1Mbと表示、メガベース)です。

 

 染色体レベルの解析で、遺伝子やDNA多型の位置を決めるのも、一種の物理地図ですが、通常はクローン化したDNAを集めて染色体上の配列を再現するように並べた、コンティグを意味しています。

 

物理地図をつくる

 

 たとえば1番染色体の全長にわたる物理地図をつくるとしましょう。まず、ヒトの1番染色体を含むマウスなどの細胞(雑種細胞)をつくります。ヒトとマウスの細胞を融合した雑種細胞では、ヒトの染色体が徐々に失われ、時には1本だけが残るので、そのような細胞ができるのです。そのDNAを抽出して、YACなどに挟み込んだライブラリーをつくります。ヒトのDNAは他の動物と簡単に識別できますので(含まれる反復配列が違う)、ヒトの1番染色体に由来するYACクローンを拾い出すのは簡単です。薬品処理によってヒトの細胞核をバラバラにし、染色体1本だけを含む微小核を得て、雑種細胞をつくる方法もあります。

Sponcsered Link

 

 ヒトのクローンそれぞれについて、制限酵素による切断店の分布、あるいは特定の塩基配列の有無などを調べ、部分的に重複している複数のクローンがあれば、互いに連結したものとみなします。そのような操作を繰り返すことで、次々にクローンをつなげ(コンティグをつくり)、染色体の全長をカバーすまで延長していくのです。

 

 2つのクローンの間に重複している場所がないと、相互の位置関係はわかりません。重複している場所さえあれば、互いの位置関係がわかります。YACなど長いDNAのクローンほど、地図づくりに有利なのです。

image1 (9)

 1992年ごろから、最近人工染色体(BAC)も使われるようになりました。クローン化できるDNAの長さはYACより短いのですが、挟み込んだクローンが安定であるなどのメリットがあり、最近はこちらが主力です。

 

 短い区間を詳しく調べるためには、YACやBACのクローンをさらに小さいコスミドなどのベクターにクローン化し、塩基配列の解析に進むこともできますし、BACクローンなら、そのままショットガン法で塩基配列を決めることもできます。

Sponcered Link

-ヒトゲノム計画
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

遺伝地図とは何か

Sponsered Link 染色体上の遺伝子の位置関係を示す地図    ヒトゲノム計画の理解には、遺伝地図と物理地図についておおまかな知識が欠かせません。まず遺伝地図について、簡単に解説し …

いろいろな動物のゲノム

Sponsered Link 1つの遺伝子を使い回す    ヒトゲノムの概要版では、ヒトは3万~4万個の遺伝子をもつ、という推定になりました。全長が1mm足らずのセンチュウや、虫眼鏡がないと …

ヒトゲノム計画〜ゲノム解析のアプローチ〜

Sponsered Link ヒトゲノム計画の発足    ヒトゲノム計画は米国では1990年の10月、わが国では1991年の4月に発足しました。いずれも1991年度ですが、米国の会計年度は前 …

ヒトゲノム計画の背景

Sponsered Link メンデルの法則からDNAまで    遺伝子研究の歴史をさかのぼれば、1865年のエンドウを使ったメンデルの法則の発見にたどりつきます。もっとも、メンデル(G.J …

個人のゲノム解析

Sponsered Link 実現した個人のゲノム解析   これまでにご紹介したゲノム解析は、ヒトとして共通のゲノムの構造や特徴を明らかにするのが目的でした。ゲノムにはさまざまなDNA多型が …