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心と遺伝子〜子の性格はどこまで親に似るのか〜

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子どもと無限の可能性

 

 世の中には、心と精神の問題に遺伝や遺伝子がかかわっていることを、認めたくない人がいるようです。学校の先生のうちにも、“遺伝子の影響など絶対にない”と主張する方がいます。

 

 もちろん「この子はダメだ」などと簡単に決めつけては、教育は成り立ちません。あくまでその子の可能性を信じて粘り強く接する必要があります。そのための心構えとして、教育者は“子どもは無限の可能性がある”とと信じる必要があるのです。だからといって「すべての子どもは無限の可能性を持つのだから、遺伝子の影響はありえない」と主張するのは、まったくのナンセンスです。

 

 遺伝の影響を紹介しましょう。知能指数(IQ)についても、親と子の間に身長の場合と同じような関係があることがわかっています。また、夫婦のIQを調べると、遺伝とは関ありませんが、わりと値の近い2人が夫婦になる傾向があるようです。

 

 双子の研究によっても、一卵性の双子のIQの差(5.9)は、二卵性の双子(9.9)や同胞(9.8)より小さいことがわかっています。なお、同じデータで、別々に育った一卵性の組の間の差は8.2ですから、環境の影響があるのは事実ですが、あまり大きくないといえるでしょう。遺伝的には50%の共通性を示す二卵性の双子と同胞の組でほとんど同じ結果が出ていることからも、このデータの信頼性の高さが推定できます。

 

 最近になって、IQを高める遺伝子の型が見つかるなど、これまで遅れ気味だった心の問題も大きく動き始めました。大勢の人の前に出るとパニックを起こし、何にもできなくなる「パニック障害」も、原因に遺伝子がかかわることがわかりました。ストレスにさらされると、神経系や内分泌系のさまざまな遺伝子の活動が高まります。DNAチップの技術を使うことで、ストレスの程度や反応の状態をまとめて調べる方法ができた、というニュースもありました。

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 兄弟姉妹(同胞)の数が合計で2~3人の場合が、IQの平均が最も高いというデータもあります。親がなんでも手取り足取りで面倒を見る1人っ子より、お互いに喧嘩をしたり、仲直りしたり、ゆずりあったりという生活のほうが、必要に迫られて工夫するなど知能の発達にプラスになるのでしょう。同胞の数や生まれた順番は、遺伝子とは関係ありません。つまり、知能の発達には、環境の影響もあるのです。

 

好奇心の遺伝子が冒険に誘う?

 

 中南米の先住民は、ABO式血液型がOしかありません。彼らはシベリアからの移住者の子孫ですが、移住に成功して子孫を残した人たちがきわめてわずかだったのでしょう。全員が血縁関係にある大家族なら可能性はありますが、血縁関係にない何十人もの人がすべてO型ということは、ありえません。

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 2万年ほど前の最後の氷河期には、海面は現在よりも120mほども下がっていました。ロシアとアラスカを分けるベーリング海峡(現在の水深は42m)のあたりには、広大な草原が広がっていたのです。ただし、その先のカナダは巨大な氷河に覆われていて、先には進めません。氷河期が終わりに近づいて氷河が縮小し、北から南へ抜けるわずかなすき間ができ、しかも上昇しつつある海面に海峡が水没する前、という実に微妙なタイミングで通り抜けることに成功した、わずかな人たちの素村が先住民なのです。

 

 全員が死に絶えてもまったく不思議のない、厳しい状況でした。彼らを調べると、こうきしんが強いタイプの遺伝子の頻度が非常に高いというのです。アジアに残った人に比べて、新天地を求めて冒険に乗り出したグループの好奇心が強いというのは、納得できる話です。日本人は白人に比べて、好奇心の強い遺伝子が少ない、という説もあります。

 

性格はどこまで遺伝で決まる?

 

 性格のように、個人差をはっきり数字で表すことが難しい分野では、家系を調べても、伝わり方や遺伝の影響の大きさはわかりません。

 

 そのような場合には、双子を比べるのです。一卵性の双子は、受精卵が二つに分かれることで生まれるので、2人は遺伝的にまったく同じです。二卵性ではh2個の卵子がそれぞれ別の精子で受精しますので、2人は遺伝的に50%の共通性があり、兄弟や姉妹と同じです。また別々の環境で育った一卵性の双子を調べれば、、2人の違いはすべて環境のせいですから、はっきりと環境の違いがわかります。

 

 ブシャード(T.J.Bouchard Jr.)による大規模な双子の研究によって、性格はほぼ2/3が遺伝によって、残る1/3は育児など環境によって決まることがわかりました。

 

 赤ん坊の時から別の家庭で育てられた一卵性の双子が、何十年かぶりで会ったのに、しぐさや趣味があまりに似ているので研究しているほうが驚いた、などという例がたくさん見つかったのです。なお、上記の2/3というのは、遺伝が原因で占める割合です。

 

育児によっても性格は変わる

 

 このような話をすると、しばしば「2/3まで遺伝子で決まるなら、育児に努力しても意味がない」という反応が返ってきます。しかし、1/3というのは、ずいぶん大きな数字です。親にできることは多いのです。

 

 たとえばなんでも子供のいうなりに甘やかして育てると、子供は自分のわがままが通るのがあたりまえ、と思うようにまります。徳川時代の大名の子ならともかく、学校であれ社会であれ、自分の思い通りになんでも動くはずはありません。状況に合わせていろいろ工夫したり努力することも、自分のわがままをおさえて我慢することも、幼いことからまったく経験したことがなければ、できないでしょう。子供に我慢することを教えるのは、子供自身のためです。

 

 他方、子供のうちからなんでも禁止して、むやみに叱るだけでは、子供は伸びません。だめなことはあくまでだめですが、お手伝いをしたり、がんばったときは褒めるのがベストの対応でしょう。昔から言われている「3つほめて、1つしかればいい子に育つ」というのは妥当な線だと思います。

 

 ところで、赤ちゃんをまったく放置して相手をしないでいくと、キレやすい子になるという報告があります。抱き上げるのはもちろん、時々顔を見せて「バー」などとあやすだけでも、なにもしないのとは違うのです。小さな赤ちゃんでも、まわりとのかかわりが意外にあるようです。

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