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兄弟姉妹が違うのはなぜか

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世代を越える染色体の流れ

 
 子供には父と母から精子や卵子の形でゲノムが伝わることは、すでに説明しました。たとえば、父の染色体を見ると、祖母からの23本と祖父からの23本が遂になっています。
 
 さらに父から子に伝わる場合を考えましょう。たとえば図の左端の染色体について、子には対のうち祖父からのを伝えるのか、祖母のを伝えるのかという2つの可能性があります。中央と右の対についても同様です。それぞれの対について2本のうちの片方という選択ですから、3対なら2の3乗で、図のように8種類の精子ができます。
IMG_1311
 たとえば、長女には祖父からの1番、祖母からの2番、祖母の3番が伝わったとします。次女が祖父からの1番を受け取れる可能性は1/2です。祖母からの2番も1/2、3番も1/2と続き、22番と性染色体まで、長女と同じ組み合わせの23本の染色体を父から受け取る確率は、2の23乗ですから840万分の1となります。
 
 つまり、祖父母の世代までさかのぼって染色体の由来を考えると、兄弟姉妹がまったく同じ組み合わせの染色体(遺伝子)を受け取る可能性は、ゼロに近いのです。
 
 ソフト祖母は他人どうしですから、同じ染色体の対でも少しずつ内容が違います。たとえば9番の染色体には、ABO式血液型の遺伝子があります。A、B、Oの3種類の遺伝子のいずれかが、9番染色体の同じ位置に含まれているのです(このように同じ位置にある異なる遺伝子を対立遺伝子と呼び、それらの組み合わせを遺伝子型と呼びます)。そして、祖父がAB型、祖母はO型(遺伝子型はOO)で、母がA型(同AO)とすると、長男にはAが伝わり、次男にはOが伝わるという違いが起きるのです。
IMG_1310
 1組の対立遺伝子を見れば、2人とも同じ組み合わせということはあります。しかし、すべての染色体の対立遺伝子について同じ組み合わせとなると、可能性はほとんどゼロということになります。
 

ゲノムの多様性を増やすキアズマ

 
 父や母の染色体数46の細胞(精原細胞または卵原細胞)から、染色体数23の精子や卵子をつくるステップを減数分裂と呼びます。その場合に、ある精子(卵子も同じ)に入る染色体については、前記のように多彩な組み合わせがありますが、さらに多様性を増やすメカニズムがあります。キアズマ(交叉)です。父(または母)の減数分裂で、祖父からと祖母からの染色体が2倍の太さになってから対をつくり、互いに染色体の一部を交換するのです。
 
 1番から22番までの常染色体の全長あたりで、平均50か所ほどのキアズマができます。いちばん大きな1番の染色体で平均4か所ほど、最もちいさな21番や22番では1か所ほどです。たとえば21番の染色体は、祖父または祖母の21番がそのまま子に伝わるのではなく、片方の端から途中(キアズマの位置)までは祖父の21番、そこから先は祖母の21番といったぐあいに、いわば切り貼りした状態で子に伝わります。染色体の由来に加えて、キアズマが多様性をさらに高めるのです。
 
 ただし、兄弟姉妹が受け継いでいる遺伝子は、同じ父母から伝えられたもので、ほかから伝わることはありません。祖父からか祖母からか、という選択があるだけで、他人の染色体が入り込むわけではありません。
 
 そのため、すべての染色体(遺伝子)の平均で、50%の共通性があるのです。祖父母の代から染色体の由来まで見ると多様性がありますが、それでも他人どうしと比べれば互いにずっと似ているのです。
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