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遺伝子の組換えと遺伝子のクローン化とは?

 

 ヒトなどの哺乳類はもちろん、昆虫や細菌、植物まで、遺伝子はすべて二本鎖DNAでできています。エイズウイルスなどウイルスの一部には、一本鎖RNAが遺伝情報をもつものがありますが、珍しいものです。

 

 二本鎖DNAの構造は細菌から高等生物まで同じなので、あらゆう生物のDNAを互いにつなぐことができるのです。一本鎖RNAのウイルスでも、逆転写酵素(RNAからDNAをつくる酵素)などを使ってRNAを二本鎖DNAに変えれば、ヒトのDNAをつなぐことができます。遺伝子治療では、RNAウイルスに手を加えてつくったベクター(遺伝子の運び屋)にヒトの遺伝子をつないだものが、実際に使われています。

 

 DNAどうしをつなぐためには、両者の切り口が同じ形をしている必要があります。片方の鎖が少し伸びていると理想的です。そのおような切り方をする「制限酵素」が、たくさんあるのです。本来は、細菌などが、内部に侵入したウイルスなどのDNAを切断して、自分を守るための酵素です。

制限酵素によるDNAの切断

 たとえば、EcoRI(エコアールワン)という制限酵素は大腸菌から分離されたもので、GAATTCという6塩基の配列を認識し、GとAの間で切断します。その結果、AATTという4塩基が一本鎖の形で突き出した断端ができます。

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 同じ制限酵素で切ったDNAは、同じ断端の形をしています。同じ断端をもつDNAどうしは、突き出した部分が相補的で二本鎖になるため、簡単につなぐことができるのです。できたものが組換えDNAです。細菌や酵母などの細胞に入って維持されるDNA(ベクター)にヒトDNAをつないで組換えDNAをつくれば、細胞の増殖とともにヒトDNAを増やすことができます。これがクローン化です。ベクターとしては、大腸菌のプラスミド(染色体とは独立に複製し、次代の細胞に受け継がれるDNA)やファージ(細菌に感染するウイルス)などが用いられます。

 

クローン化のメリットは?

 

 クローン化すると、何かよいことがあるのでしょうか。ヒトの細胞は、ほぼ24時間に1回のペースで分裂しますので、1日に2倍です。大腸菌なら30分に1回ですので、24時間では2の48乗ですから、 281兆倍ほどになります。ヒトのs相棒を増やすのに比べて、けた違いに効率がよいのです。みなが遺伝子のクローン化に目の色を変えている理由が、おわかりいただけると思います。

 

 なお、大腸菌のプラスミドやファージにクローン化できるDNAの長さは、限られています。プラスミドで10kb(kb=1000塩基対)くらい、ファージでは少し大きいくらいです。大きな遺伝子を扱う必要があるときには、酵母人工染色体(YAC)や細菌人工染色体(BAC)をベクターに使います。

 たとえば、YACは、酵母の染色体の動原体、DNA複製の開始点に、テロメアを連結し、1Mb(1000kb)くらいまでのヒトDNAをはさみ込んだまま、酵母の細胞の中で酵母の染色体と同じように複製・分裂するので、大きな遺伝子のクローンができます。

DNAのクローン化

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