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DNAと遺伝子、ゲノム

DNAから染色体まで〜バンド法〜

投稿日:10/02/2015 更新日:


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DNA、ヌクレオソーム、染色体

 

 ヒトのDNAはゲノムあたりでほぼ1mの長さになりますが、1つの細胞の核には父からと母からのゲノムが対になっていますので、各細胞のDNAはこの倍です。これがヌクレオソームなど何段階かの構造を経て、クロマチンになり、核の中に詰まっています。分裂期にはさらに圧縮されて、染色体が姿を現します。この状態では、もとのDNAと比べて1万倍ほどに圧縮されているのです。

 

 まずヌクレオソームですが、ヒストンが8分子(H2A,H2B,H3,H4という4種のヒストン各2分子)が集まった球状の構造(ニュー小体)に、DNAが2回ほど巻きついて、少し離れた次に球に移るというパターンです。いわゆる真珠の首飾り構造ですが、本物のネックレスに比べると真珠の間がかなり離れています。

DNA

 次の段階がソレノイドで、ヌクレオソームがとぐろを巻いて中空の菅をつくったイメージです。1周にニュー子体6個を含む太さです。クロマチン繊維と呼ぶこともあります。

 

 クロマチン繊維は、スカフォールドというタンパク質性の軸に付着し、大きく張り出してループをつくり、また戻って付着することを繰り返しながら、染色体の一端から反対の端まで続いています。電子顕微鏡で染色体を見ると、染色体の形に毛糸が集まっているように見えます。クロマチン繊維がひしめき合っているのです。

 

染色体を見る

 

 染色体を観察するためには、光学顕微鏡を使います。その場合、キナクリンという蛍光色素で染めるか(Qバンド法)、軽いトリプシン処理などのあとにギムザ染色する(Gバンド法)と、染色体の長軸沿いに濃淡の横じま(バンド)が見えます。下記の図はGバンド法による正常男女の染色体です。このように染色体を番号順に並べたものが核型です。

ヒトの染色体

 G染色で濃いバンドはQ染色では蛍光が強く、Gで淡いバンドはQでは蛍光が弱いので、どちらの方法を使っても結果は同じです。

Qバンド法(Qバンド法で観察した染色体)

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 Gで濃い(G陽性)バンドはDNAレベルで見ると、AT対が多く、遺伝子密度が低いのです。遺伝子のうち、組織特異的に発現する遺伝子の一部だけが分布しています。Gで淡い(G陰性)バンドには、GC対が多く、組織特異的な遺伝子のほかに、ハウスキーピング遺伝子もあるので、遺伝子密度が高いのです。

 

 なお、Cバンド法によると、まったく別の場所が染まります。各染色体の動原体付近、1、9、16番などの長腕の一部、Y長腕の末端側などで、これらの部分はヘテロクロマチンと呼ばれ、短く単純な塩基配列が高度に反復しており、遺伝子はまったくありません。なお、染色体のバンドにはそれぞれ、世界共通の方式で番号がつけられています。

 

染色体異常による病気

 

 染色体ごとに大きさや形がちがい、またバンドの配置に特徴がありますので、Gバンド法やQバンド法を使うと、染色体を個々に見分けることはもちろん、その一部分が欠けたり、重複して過剰になった場合に、見分けることができます。

 

 たとえば5番染色体の短腕の先端側が欠けると、ネコなき病になります。両目の間隔が大きく離れ、子ネコのように甲高い声で泣く知的障害です。同じように見える4番染色体の短腕が欠けると、高度の知的障害、外耳道閉鎖など耳の異常、顔面や全身のさまざまな奇形になります。

 

 21番染色体が1本多いのが、有名なダウン症です。正常では1対ある21番が3本あり、21トリソミーと呼びます。18トリソミーや13トリソミーもあります。他方、21番と大きなも形もそっくりな22番のトリソミーはありません。同様に17番や14番のトリソミーもないのです。

 

 トリソミーが見つかる21、18、13番などの染色体は遺伝子密度の低いバンドの割合が多く、トリソミーが見つからない22、17、14番などは、遺伝子密度の高いバンドが多いことがわかりました。染色体の数の過不足が見つかるのは遺伝子の少ない染色体で、要するに異常の程度が軽かったのです。

 

 重い重症だと、流産するか、妊娠とわかる前に失われるのです。妊娠の初期に自然流産した胎芽を調べると、ほとんどあらゆる種類の染色体異常が見つかります。

 

 ちなみに受精卵のうち15%は流産により失われ、そのうち半数には染色体の異常が見られます。残る半数については、おそらく遺伝子の変化がかなりの頻度で見られるでしょう。結論を出すためには多数の遺伝子を隅から隅まで調べる必要があります。個々に遺伝子を調べる現在の技術では不可能ですが、いずれマイクロアレイの技術で、多数の遺伝子を調べられるようになれば、結論が出るでしょう。

 

染色体上の遺伝子の数は?

 

 ヒトゲノムあたりのDNAh30億塩基対とされています。遺伝子の数については流動的ですが、たとえばゲノムあたり3万と仮定した場合、もっとも大きな1番染色体では2040ほど、もっとも小さな21、22

番あたりですと290ほど、中くらいの大きさの染色体なら1200くらいという計算になります。

 これは単純に長さに比例すると仮定した数字ですが、G陰性バンドは遺伝子密度が高く、G陽性バンドは低い、C陽性バンドにはまったく遺伝子はないといった分布があることは、すでに説明した通りです。

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