細胞を用いる医療とその可能性の記事一覧


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 これまでは、細胞の基礎的な内容をお話ししてきました。そして再生医療と深く関わりのある幹細胞、ES細胞、iPS細胞などの基礎についても学んできました。それでここからは、再生医療について具体的に話を進めていくことにしましょう。

 

 され、再生医療とはいったいなんでしょうか? これまでの医療とはなにが違うのでしょうか?

 

 一言でいうと再生医療とは、「病気やケガを、細胞の能力を用いて治す医療」のことであって、厳密に言えば「細胞を用いない医療は再生医療ではない」のです。そもそも、われわれ動物(人間)には自己修復能力(再生能力)が備わっていて、手術や抗がん剤、最先端医療など、すべての医療は、このわれわれがもつ自己修復能力(再生能力)を前提に行われています。クスリにせよ手術にせよ、人間が本来もつ自己修復能力(再生能力)を手助けするための道具にすぎません。いわば、いつまでたっても主役にはなれない脇役のようなものです。脇役が脇役になれるのは自己修復能力(再生能力)という主役がある場合だけです。それにひきかえ細胞を使う医療技術では、人工の目をつくったり、神経をつくったり、皮膚をつくったりすることができ、主役であり脇役は必要ありません。それだけで十分なのです。これが再生医療で、再生させる医療とは決定的に違います。

再生医療

 最近における科学技術の目覚しい進歩によって、倫理的問題をクリアしたと思われるiPS細胞がもつ多分化能を利用して、自己の細胞から必要とする組織や器官、臓器をつくりだす研究が世界中で行われており、現実に向けて一歩一歩着実に前に進んでいます。このような状況を踏まえ、従来から行われてきた臓器移植や人工臓器などの再生させる医療と細胞の能力を活用する再生医療を区別して考えるようです。すなわち、臓器移植とか人工組織、人工器官、人工臓器(人工心臓や人工肺など)は、再生させる医療のです。一方、組織・器官・臓器形成のメカニズムを解析し、細胞の有する能力を活用して組織や器官・臓器の修復・再生を行い、損なわれた機能を回復するために必要な技術を再生医療と呼んでいます。


iPS細胞について, 細胞を用いる医療とその可能性