DNAと遺伝子、ゲノムの記事一覧


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DNAは細胞の核に入っている

 

 ヒトの体は、約60兆個の細胞からできています。細胞にはさまざまな形のものがありますが、日の丸の角を落として全体を楕円形にしたものが細胞で、中央の赤い丸が核というイメージです。旗の白い部分にあたるのが細胞質で、タンパク質の合成にかかわるリボソームや、エネルギー生産にかかわるミトコンドリアなど、細胞小器官が散在しています。

細胞の構造

 細胞には大きく平たいものや、小さく球形に近いものなど、さまざまな形のものがあります。神経細胞のうちには、40〜50cmに及ぶ糸のような軸索を伸ばしているもんさえあります。細胞の大きやさ形は種類によって大きく違いますが、とりあえず核の直径は数μmほどと思ってください。核には46本の染色体がほどけた状態で入っています。

 

 それぞれの染色体の中を、端から端までDNAが走っています。1つの細胞に含まれるDNAの長さの合計は2mにもなりますが、それが何百段もの構造をつくって圧縮され、染色体や核をつくっています。細胞の核では染色体の形はほどけて均質に見えますが、これをクロマチンと呼びます。

 

細胞分裂と細胞周期

 

 細胞が2つに分かれる「分裂期」には、球形の核に含まれるクロマチンが、急速に圧縮されます。核を包んでいる角膜が消え、凝集したクロマチンが染色体として姿を表すのです。これが分裂期(M期)で、それ以外の時期を分裂期間と呼びます。分裂期間にはほぼ球形の核が、分裂期には46本の染色体に姿を変えるのです。

 

 なお、分裂期の時期(DNA複製がはじまるまでをG1期と呼ぶ)には、それぞれの染色体の中を1本の二本鎖DNAが走っていますが、やがて次の分裂に備えてDNAの複製がはじまります。この時期をS期(複製期)と呼び、それぞれの染色体のDNAが全長にわたって2本に増えます。複製が終わると、短い休止期(G2期)をはさんで細胞分裂がはじまります。

 

 つまり細胞はG1、S、G2、M期と進んで細胞が2個に分かれ、次のG1期に入るというサイクルを繰り返しています。これが細胞周期です。神経細胞など分裂しない細胞は、ずっとG1期にとどまっているのです。

細胞周期

 G2期から分裂期にかけての染色体は、DNAを2本含んでいます。そのため、分裂期の染色体は1本の棒ではなく、2本の染色分体に分かれてX型に見えたりするのです。染色体のくびれた部分は、動原体といい、分裂期には紡錘糸が付着して、染色分体を引き離して2つの細胞に分配します。染色体のそれぞれの腕(短腕と長腕)の末端には、テロメアと呼ばれる構造があります。TTAGGGという塩基配列が繰り返した構造で、末端部分を保護しています。動原体にも一種の反復配列があります。

 

 分裂によって染色分体は2つの細胞に分配されるので、次のG1期には、染色体中のDNAは1本に戻ります。染色体とDNAは対応していますので、長い(大きな)染色体のDNAは長く、短い染色体のDNAは短いのです。

 

 DNAには遺伝子が散在していますが、遺伝子の長さの合計はDNAの3〜5%ほどで、DNAの大部分は情報をもたないと考えられています。つまり染色体(DNA)上には、遺伝子が離れ離れに分布しているのです。

染色体の構造

ゲノムは遺伝の基礎単位

 

 それぞれの細胞に含まれる46本の染色体は、すべて対になっています。対の片方にあたる23本の染色体は父親の精子から、相手の23本は母親の卵子から伝わったものです。受精によってできた23対46本の染色体を含む1個の受精卵が、細胞分裂を繰り返して体をつくります。

 したがって、精子や卵子に含まれる23本の染色体と、それに含まれるDNAや遺伝子が遺伝の基本的な単位になっており、これをゲノムと呼びます。なお、DNAは1本ずつ区分するのが難しいので、23本分の長さ(30億塩基対)をまとめてゲノムとして扱います。つまり、体をつくっている細胞は、それぞれゲノムを対で含んでいるのです。


DNAと遺伝子、ゲノム