2015年7月の記事一覧


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人工多機能性幹細胞:体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、多種の細胞への分化能および自己複製能をもたせた細胞。

胚性幹細胞:動物の発生初期段階である胚盤胞期の胚の一部(内部細胞塊)よりつくられる幹細胞。

クローン:同一の起源をもつ細胞、個体の集団。

分子細胞生物学:細胞の構造や生命活動のメカニズムを、分子レベルで捉えることを目的とした学問。

細胞分裂:1つの細胞が2個以上の娘細胞の増える現象。

がん:遺伝子変異によって無限に増殖し、周囲の組織に浸潤および転移を起こす細胞群。

エイズウイルス:免疫細胞に感染して破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群(AIDS)を発生させるウイルス。

パラダイムシフト:その時代や分野において、当然のことと考えられていた認識や価値観などが劇的に変化すること。

脊髄損傷:背骨の中にある神経束に損傷を受け、シビレや麻痺をともなう病態。

ポテンシャル:潜在能力。

遺伝子:タンパク質をコードするDNA配列。

単細胞生物:1つの細胞で体が構成されている生物。

タンパク質:アミノ酸が多数連結(重合)してできた高分子化合物。生物の重要な構成成分の1つ。

アミノ酸:アミノ基(NH2)とカルボキシル基(COOH)の両方をもつ有機化合物の総称。タンパク質はアミノ酸からなる。

タバコモザイク病:タバコモザイクウイルスによる植物の病気。葉にモザイク状の斑点ができ、成長が悪くなる。

ミクロン:メートル法の長さの単位で、1ミクロンは1000分の1ミリ。

多細胞生物:複数の細胞で体が構成されている生物。

コロニー:最近や培養細胞などが形成する単一細胞由来の細胞集団。

線維芽細胞:結合組織を構成する細胞の1つ。コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった真皮の成分をつくりだす。

染色質(クロマチン):DNAとタンパク質の複合体で、遺伝子の活性化、不活性化に関与する。

リボソーム:mRNAの遺伝情報を読み取り、タンパク質へと変換する機構。

小胞体:一重の生体膜に囲まれた板状あるいは網状の膜で、タンパク質や脂質の合成の場となる細胞小器官。

ミトコンドリア:ATPの合成の場となる細胞小器官。

葉緑体:光合成の場となる細胞小器官。

好気性細菌:酸素を必要とする細菌。

光合成:植物が行う、光エネルギーを化学エネルギーに変換する反応。

ATP:生物体で用いられるエネルギー保有物質。すべての真核細胞がこれを直接利用する。

RNA:DNAによく似た物質で、DNAの転写物となる。

翻訳:mRNAの情報にもとずいて、タンパク質を合成する反応。

スプライシング:DNAの遺伝情報がmRNAに転写される際に、余分なものを切り離して再度つなぎ合わされること。

マクロファージ:生体内に侵入した細菌、ウイルス、または死んだ細胞を捕食し消化する白血球。

食物連鎖:動物や植物など、生物種間での「食べる・食べられる」という関係を指す言葉。

ホルモン:動物の体内において、ある決まった器官で合成・分泌され、体液(血液)を通して体内を循環し、別の決まった器官でその効果を発揮する物質。

筋細胞:筋肉組織を形成する収縮性のある細胞。

感覚細胞:視細胞、聴細胞、味細胞、嗅細胞などの、特定の刺激を受け取る細胞。

生殖細胞:卵、精子、種など、遺伝情報を次世代にへ伝える役割をもつ細胞。

脂肪細胞:細胞質内に脂肪を溜め込む細胞。

腺細胞:体表または血管内に分泌物を出す細胞。

白血球:血液に含まれる細胞で、免疫機構をつかさどる。

胚盤胞:受精卵の成長段階の名称で、受精より5〜6日後、子宮に着手する時期を指す。

上皮細胞:体外表面をおおう表皮、体内表面(食道、胃、腸など)をおおう粘膜および腺細胞の総称。

ヒストン:真核細胞のクロマチンを構成するタンパク質。非常に長い分子であるDNAを核内に収納する役割を担う。

メチル化:メチル基(CH3)が置換または結合すること。

マイコプラズマ・ミコイデス細菌:牛の感染症を引き起こす細菌。

侵襲:医療行為全般を指す医学用語。

孵卵器:卵を保温し、孵化させるための機器。

新陳代謝:古いものが新しいものに次々と入れ替わること。

コラーゲン:真皮、靭帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質の1つ。ヒトでは、腺タンパク質のほぼ30%を占める。

エラスチン:コラーゲンの繊維を支える役割をもつ。弾性繊維とも呼ばれる。

ヒアルロン酸:ムコ多糖類の一種。わずか1グラムで6リットルの水分を吸着する。

ムコ多糖類:濃いゼラチン性の物質で、関節、眼球、動脈に多く含まれている。

拒絶反応:移植を行ったあとに起こる一連の病的生体反応。

先天性角化異常症:テロメアを構成する分子の異常により、皮膚、粘膜、神経系などの異常を伴う病気。

脳卒中:脳への血管のつまりや破裂により、その先に栄養が届かなくなって、脳細胞が死んでしまう病気。

心筋梗塞:心臓への血管のつまりにより、心臓に栄養が届かなくなって、心筋細胞が死んでしまう病気。

モータリン:老化やがんに関わるとされるタンパク質の1つ。

クローン胚:体細胞の核を、核を取り除いた卵子に移植することで作製した胚。

倫理委員会:医療における諸問題の倫理的側面について議論・討論を行う機関。

臨床研究:病気の予防方法、診断方法および治療方法の改善を目的として実施される医学系研究。

間葉細胞:胚の内胚葉と外胚葉の中間に現れる胚用の細胞。

テーラーメード:オーダーメイドの別称。

重症型脊髄性筋萎縮症:運動神経細胞の病変によって起こる筋萎縮症で、生後間もなく死亡することもある。

活性酸素:電化活性化された酸素分子。活性酸素は、血管を障害し、老化や癌化を促進する。

大脳皮質:大脳の表面に広がる、神経細胞の薄い層。

エピジェネティクス:遺伝子配列以外の遺伝情報(DNAのメスチル化やヒストンの化学修飾など)のメカニズムを研究する学問。

キメラ動物:2個以上の胚に由来する細胞集団(キメラ胚)から発生した個体。

減数分裂:真核生物の細胞分裂の様式の1つで、配偶子(卵や精子)を形成する際に行われる。生じた娘細胞では、染色体数が半分になる。

原始生殖細胞:生殖細胞のもとになる細胞。発生の初期に発現し、将来の卵原細胞あるいは精原細胞になる。


その他


 受精卵と生殖細胞。なんだか同じように聞こえますが、実はまったく違う細胞なのです。受精卵の特性であるたった1つの細胞からすべてのものが発生するため、受精卵の行う細胞分裂は非対称分裂であるとお話すましたが、生殖細胞はそのその生命の始まりの受精卵をつくる細胞になります。さらに生殖細胞の特異的なことは、生殖細胞は受精卵を形成した直後に次世代の生殖細胞をすでにつくってしまうことでしょう。厳密には生殖細胞と精子・卵子はまったく違いますが、将来の精子や卵子の中に含まれる遺伝情報は、生殖細胞に完全に規定され、言い換えると将来成人し、生殖器を迎えた私たちの精子や卵子のありさまはすでに受精卵の時点で決まっているという情味深い事実があります。では次にその様子を詳しくみていきましょう。

 

 将来の精子や卵子に変化する細胞は、それぞれ精原細胞卵原細胞と呼ばれ、始原生殖細胞に由来しています。この始原生殖細胞は、移動して性的に未分化な状態の生殖巣(精巣もしくは卵巣)に定着し、増殖して精原・卵原細胞へと分化します。その後、増殖を繰り返してそれぞれの細胞数を増加させます。やがてこれらの一部が減数分裂の準備気に入って一時精母・卵母細胞となり、長い休止期のあとに減数分裂を行います。減数分裂は、第一分裂と第二分裂の2つの分裂が連続して行われています。

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 精母細胞は第一分裂を行って二次精母細胞になります。二次精母細胞は第二分裂を行って精細胞になります。一方、一次卵母細胞は第一分裂を行って二次卵母細胞と第一極体になり、二次卵母細胞は第二分裂を行って卵細胞と第二極体になります。卵はいちじるしい不等分裂によって形成され、1個の卵原細胞から1個しかできません。

生殖細胞の形態形成

生殖細胞の形態形成生殖細胞の形態形成

 

 この減数分裂においては、第一分裂では染色体の数が半分になり、第二分裂では体細胞分裂と同じ過程をたどります。つまり生殖細胞は、最終的に染色体が半分、すなわち23本になった状態で存在しているのです。

 では受精卵はどうかというと、染色体は卵細胞と精子それぞれから受けとっているため46本(23対)です。そして受精卵は、初期段階で非対称性ではありますが、通常の細胞分裂を繰り返しています。


iPS細胞について, 人体を構成する細胞の特殊性とは?


 細胞分裂と聞くとみなさんはなにを思いだすでしょうか? ずっと以前に生物を習った方も、つい最近生物を学んだ方も、いま生物を学んでいる方も、細胞分裂とは細胞の核が2つになり、まったく同じ細胞(娘細胞)が2つできるという細胞分裂を連想するのではないでしょうか? 確かにその通りです。皮膚の細胞は分裂しても同じ2つの皮膚の細胞になりますし、骨の細胞も分裂したからといって、骨と肝臓ができるわけではありません。ちゃんと2つの骨の細胞に分裂します。これを対称性分裂といいます。

 

 しかし多細胞生物である動物の発生過程における細胞分裂は、まったく異なります。1個の受精卵がただ単純な細胞分裂を繰り返すだけなら、私たちの体は約60兆個の受精卵になるだけです。では、受精卵はどのような分裂をするのでしょうか?

 

 受精卵は卵割と呼ばれる細胞分裂を行います。通常は2細胞期に左右に、4細胞期に前後に、8細胞期に腹背に分かれます。このとき、卵黄が少ない動物極側のほうは細胞が小さくなります。

 

 このように卵割では、非対称性の細胞分裂を行っています。つまり、受精卵は単純な細胞分裂ではなく、少しずつ形を変える分裂(これを非対称分裂といいます)を繰り返しています。この現象がひいては、いろいろな役割をもった細胞や器官、臓器になっていくのです。

受精卵の卵割

 非対称分裂の先をもう少し見ていきましょう。ある程度細胞分裂が増えると内部に空洞ができ、その外側と内側は細胞に覆われた形になります。この時期のことを胞胚期(ほうはいき)といいますが、難しく考えず「ちくわ」を想像してください。「ちくわ」の外をおおっている細胞群を外胚葉といい、「ちくわ」の内をおおう細胞群を内胚葉といいます。その外胚葉からはおもに表皮と神経が、内胚葉からは消化管が形成されます。また、「ちくわ」の身の部分(外胚葉と内胚葉の隙間の入り込んだ細胞群)を中胚葉といいますが、ここからは筋肉や血管系などがつくられます。

胞胚形成 (胞胚形成)Gastrulation(原腸形成)

 このように受精卵は、非対称性の細胞分裂を繰り返したあと、形態を少しずつ変化させ、やがてそれぞれ異なった部位ごとに各器官へと分化していくのです。


iPS細胞について, 人体を構成する細胞の特殊性とは?


 生物は、単細胞生物から多細胞生物へと進化し、多細胞生物のなかでさらに高等生物へと進化してきました。そしてこのように進化してきた生物の歴史は、高等生物になっても発生の段階で引き継がれているようです。

 

 19世紀にドイツの生物学者であるエルンスト・ヘッケルは、「ある動物の受精から誕生までの発生過程は、その動物が進化してきた道のりをもう一度繰り返すかたちで行われる」という仮説を提唱しました(この仮説を「ヘッケルの反復説」といいます)。この仮説によれば、受精卵は単細胞段階を表すものと考えられ、卵割(らんかつ)によって細胞が増え、胞胚(ほうはい)から原腸陥入(げんちょうかんにゅう)によって消化管がつくられる過程を多細胞動物の進化の過程であるとみなし、これによって多細胞動物の進化の道筋を明らかにしようとしました。また、発生段階の胚は、魚の段階を経て、その後、両生類・爬虫類といった各進化の段階をたどって哺乳類へと進化していったと考えられました。

エルンスト・ヘッケル

220px-Ernst_Haeckel_2(写真:Wikipedia)

 ところがこのヘッケルの反復説は、数々の点で批判の対象になりました。それでもヘッケルの反復説は、今日の中学校や高校の教科書にも掲載されていることから、この仮説は非常に重要であるといえます。実際、この仮説を実験によって裏づけた研究者がいます。西原克成(にしはらかつなり)博士は、実験進化学という科学的手法を用いてサメを陸生動物に変化させることに成功することで、このヘッケルの反復説を証明しました。このようにヘッケルの反復説は進化を考えるうえで意義ある仮説であるといえます。

512px-haeckel_drawings(脊髄動物各群の発生過程)

 また、いまでも先天奇形の1つである鰓弓症候群(さいきゅうしょうこうぐん)という病気があります。鰓弓の「鰓」は「エラ」と読みます。魚の病気ではなく、れっきとした人間の病気です。ヘッケルの発生反復説にそった病気で、実際に発生の段階でいったん人間にできた「鰓」が残ってしまうという病気です。また「福乳・ミルクライン」といって、胸の乳首が6個ある女性もときどき生まれます。

 このことを踏まえて考えると、長い時間をかけて進化してきた生命の誕生は、1つの受精卵から誕生までの発生過程という、非常に短い時間に再現されているといえるでしょう。


iPS細胞について, 人体を構成する細胞の特殊性とは?


 私たちの体が約60兆個の細胞からできていることからも予想できるように、非常に多くの種類(200種類以上) の細胞が存在しています。そして、それぞれの細胞が独自の構造と機能をもっています。

 

 たとえば白血球は、ほかの細胞と結合することなく自由に移動し、細菌や有形汚物を取り入れて消化します。筋細胞は、互いにしっかりと結合し、収縮により機械的な力を生み出しています。また筋細胞は、骨格筋、平滑筋、心筋という3種の主要な型があり、それぞれの場所に見合った形態で存在しています。神経細胞は、電気信号を伝えて、大脳と脊髄の中枢神経系と、それ以外の体の部分との情報伝達を可能にしています。感覚細胞には、内耳の有毛細胞(ゆうもうさいぼう)と目の網膜中にある桿体細胞(かんたいさいぼう)があります。有毛細胞は、音の第一次検知器であり、音の振動に応じて動くことで電気シグナルを起こし脳に伝えます。桿体細胞は、光で電気シグナルを引き起こして目の神経細胞に伝え、脳へと中継されます。生殖細胞は、精子や卵といった種の保存に必須である重要な細胞です。脂肪細胞は、体の中でもっとも大きな細胞の1つで、脂肪の生産と貯蔵の役割をもっています。腺細胞(せんさいぼう)などのいくつかの細胞は、おもにホルモンや酵素などの物質を体内で合成したりしています。例として、膵臓(すいぞう)にあるインスリンをつくる細胞や口腔にある唾液をつくる細胞などもあります。

 

 このように自由に移動するものもあれば(浮遊細胞、非接着細胞)、まったく動かなかったり(実質臓器構成細胞、接着細胞)、ある制限の範囲でしか動けなかったり、信号の役目、貯蔵や生産の役目など、実にさまざまな細胞が存在しています。  

 ただ、もっとも驚異的な事実は、これらすべての細胞はたった1つの受精卵から発生したということです。多くの生命の受精卵は分割を繰り返すことによって、まず外胚葉(がいはいよう)、内胚葉(ないはいよう)、中胚葉(ちゅうはいよう)というおおまかな機能をもった3種類の細胞群(胚葉)に分かれます。さらにそおれぞれの胚葉から、もうすこし役割分担のかぎられた細胞群が生まれ、その細胞群からまた新たに、もっと役割分担のしぼられた細胞群が生まれます。こうして明らかに特化された機能をもつ臓器ができるのです。

受精卵から発生した人体を構成する細胞(受精卵から発生した人体を構成する細胞)


iPS細胞について, 人体を構成する細胞の特殊性とは?